Letter 物理:2原子分子のレーザー冷却 2010年10月14日 Nature 467, 7317 doi: 10.1038/nature09443 レーザー冷却法で超低温原子が生成されたのは30年ほど前で、これは幅広い分野の急速な進歩につながった。分子は内部構造が複雑なため、レーザー冷却法はまだ分子にまで拡張されていない。しかし、分子はその複雑さゆえに、さまざまな用途に役立つ可能性がある。例えば、異核分子には永久電気双極子モーメントがあり、調節可能な異方性双極子–双極子長距離相互作用を生じさせる。極低温では双極子–双極子相互作用と分子の自由度の精密制御が可能になるため、極低温分子は、凝縮物質系の量子シミュレーションや量子計算向けのよい候補となる。また、極低温分子によって、化学動力学を研究したり基本対称性を調べたりする、またとない機会が得られるかもしれない。今回我々は、極性分子である一フッ化ストロンチウム(SrF)のレーザー冷却を実験的に実証した。3つのレーザーしか必要としない光学サイクリング方式を用いて、SrF分子ビームの横方向温度を数ミリケルビン以下まで大きく下げるシシュフォス冷却力とドップラー冷却力の両者が観測された。現在のところ、極低温分子を生成する唯一の方法は、フェッシュバッハ共鳴や光会合を介した極低温アルカリ原子どうしの結合である。しかし、提案されている極低温分子の応用では、さまざまな分子エネルギー準位構造(例えば、不対電子スピン、オメガダブレットなど)が必要となる。我々の方法によって、別の極低温分子生成法が得られる。特に、ミリケルビン未満の極低温と、直接冷却された分子(例えば極低温バッファーガス冷却や超音速ビームの減速)で達成できる1 K程度の温度の間のギャップが埋まる。最終的には、我々の手法によって、バイアルカリとは化学的に異なる分子種を、極低温で大量に生成できるようになるはずである。 Full Text PDF 目次へ戻る