Letter 医学:非筋細胞ミオシンIIAは単純ヘルペスウイルス1型の侵入受容体として働く 2010年10月14日 Nature 467, 7317 doi: 10.1038/nature09420 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、α-ヘルペスウイルスファミリーの基本型であり、ヒトに終生感染する。HSV-1は、一般にはさまざまな皮膚粘膜疾患の原因になるが、致命的な脳炎を引き起こすこともある。HSV-1が宿主細胞に侵入するには、エンベロープの糖タンパク質B(gB)とD(gD)の両方に対する宿主細胞受容体が必要である。しかし、in vitroでの広い宿主範囲をもたらし、in vivoでの重大な標的の感染にかかわるgB受容体は、いまだに解明されていない。今回我々は、非筋細胞ミオシンIIA(NM-IIA)のサブユニットである非筋細胞ミオシン重鎖IIA(NMHC-IIA)が、gBとの結合によってHSV-1侵入受容体として機能することを明らかにする。HSV-1感染に比較的抵抗性である細胞系が、NMHC-IIAを過剰発現させるとHSV-1に非常に感染しやすくなった。本来HSV-1感染許容性の標的細胞では、NMHC-IIAに対する抗体によってHSV-1感染が阻害される。また、感染許容性細胞のNMHC-IIAをノックダウンすると、HSV-1感染が阻害されるとともに、HSV-1のgB、gD、gH、gLを同時に発現させても細胞融合が阻害される。HSV-1の侵入開始時には、細胞表面でのNMHC-IIA発現が迅速に著しく亢進した。ミオシン軽鎖キナーゼはリン酸化によってNM-IIAを調節しているが、このキナーゼの特異的阻害剤は培養細胞やヘルペス間質性角膜炎のマウスモデルで、細胞表面のNMHC-IIAの増加を抑えるとともにHSV-1感染を抑制した。NMHC-IIAは、ヒトのさまざまな組織やさまざまな型の細胞で広く発現されているので、in vitroとin vivoの両方でgB受容体として機能してHSV-1の広範な感染性にかかわっていると考えられる。NMHC-IIAがHSV-1の侵入受容体と同定され、NM-IIAの調節がHSV-1の感染にかかわっていることがわかり、HSV-1の侵入機構と新しい抗ウイルス薬開発の標的についての手がかりが得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る