Letter 医学:ETV1は消化管間質腫瘍内でKITと協同して働く細胞系譜生存因子である 2010年10月14日 Nature 467, 7317 doi: 10.1038/nature09409 消化管間質腫瘍(GIST)は、ヒトの最も一般的な肉腫であり、その決定的な特徴は受容体型チロシンキナーゼをコードするKITまたはPDGFRA遺伝子の活性化変異である。KITは、GISTの起源細胞と推定されているカハール介在細胞(ICC)中で、また、造血幹細胞、メラニン形成細胞、マスト細胞および生殖細胞でも高度に発現する。しかし、ICCの過形成やGISTを生じるのは、生殖系列にKIT活性化変異を有する家系とKit変異のノックインマウスだけにほぼ限られていることから、KITが腫瘍形成を仲介するには細胞の環境が重要であることが示唆される。今回我々は、ETSファミリーの一員であるETV1は、発がん性KITを介した形質転換に感受性を示すICCサブタイプで高発現しており、また、腫瘍の増殖に必要であることを示す。さらに、ETV1はGISTで一般に高発現しており、イマチニブ感受性および耐性GIST細胞株の増殖に必要である。ETV1結合部位のトランスクリプトームプロファイリングおよび網羅的解析の結果、ETV1はICC-GIST特異的転写ネットワークの主要調節因子で、主にエンハンサー結合を介して働くことが示唆される。ETV1の転写プログラムは、活性化されたKITによってさらに調節され、これによってETV1タンパク質の安定性が延長され、ETV1と協同して腫瘍形成を促進する。我々は、GISTは内在性ETV1が高発現するICCから生じ、KIT変異の活性化が伴う場合に、発がん性ETS転写プログラムが誘発されると考える。この機序は、前立腺がん、黒色腫およびユーイング肉腫のような、ゲノムの転座または増幅がETSの異常発現を誘発するほかのETS依存性腫瘍とは異なっている。またこれは、発がん性転写因子活性化の新たな機序である。 Full Text PDF 目次へ戻る