Letter 生化学:ヒトのシンプレキン–Ssu72–CTDホスホペプチド複合体の結晶構造 2010年10月7日 Nature 467, 7316 doi: 10.1038/nature09391 シンプレキン(酵母ではPta1)は、真核生物メッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA)の3′末端の切断とポリアデニル化に必要とされる大型のタンパク質複合体の足場となっているタンパク質であり、RNAポリメラーゼII(Pol II)による転写の開始と終了にも関与している。シンプレキンは、この装置中で多数の異なるタンパク質間の相互作用を仲介しているが、その機能の分子基盤はわかっていない。今回我々は、pol IIカルボニル末端ドメイン(CTD)-Ser 5ホスファターゼSsu72、およびCTD Ser 5ホスホペプチドとの三元複合体を形成した、ヒトのシンプレキンのアミノ末端ドメイン(30〜340残基)の2.4 Å分解能での結晶構造を報告する。シンプレキンのN末端ドメインは、円弧の形に配置した7対の逆平行αへリックスをもつ、ARMまたはHEATフォールドを含む。Ssu72の構造は、低分子量ホスホチロシンタンパク質ホスファターゼの構造と似た部分もあるが、Ssu72では活性部位の様相が独特で、C-末端に余分な構造的特徴をもっており、これらがシンプレキンとの相互作用に重要である。Ssu72はシンプレキンの凹面に結合しており、この境界面に遺伝子操作により変異を導入すると、2つのタンパク質間の相互作用が消失する。CTDペプチドは、pSer 5–Pro 6ペプチド結合がcis型立体配置でSsu72の活性部位に結合しており、ほかの既知のすべてのCTDペプチドのコンホメーションと対照的である。Ssu72の活性部位は、シンプレキンとの界面から25 Å程度離れており、シンプレキンのN末端ドメインがSsu72 CTDホスファターゼの活性を促進することがin vitro実験でわかった。さらに、シンプレキンのN-末端ドメインはin vitroで、転写と共役しているときのみポリアデニル化を阻害した。触媒活性をもつSsu72はこの阻害を克服できることから、我々の結果は、転写と共役したpre-mRNAの3′末端プロセシングにおける哺乳類Ssu72の役割を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る