Letter

構造生物学:低温電子顕微鏡法によるアクチン繊維の二次構造の直接的可視化

Nature 467, 7316 doi: 10.1038/nature09372

アクチン繊維はアクチン分子のらせん集合体である。筋収縮に必須の筋繊維成分であり、また細胞骨格の主成分かつ調節因子として、アクチン単量体からアクチン繊維への、またはその逆の動的な集合離散により、葉状仮足や糸状仮足の形成など多くの細胞活動に重要な役割を果している。アクチンは広く存在するタンパク質で、重要な生命機能に関与しているが、アクチン繊維の高分解能での立体構造は未解明であった。最近提案された原子モデルは配向液晶試料からのX線繊維回折強度データをよく再現しているが、実験的な位相情報なしのモデル最適化には限界がある。一方で、低温電子顕微鏡法による構造の直接的可視化は、比較的細くて柔軟な繊維構造のために困難であった。今回我々は、低温電子顕微鏡技術の最近の進歩によって得られた、6.6 Å分解能のアクチン繊維の構造を報告する。その三次元密度図は、αへリックス、βシートやループのような、アクチン分子の二次構造すべてを明瞭に解像し、一義的なモデルの構築と最適化を可能にしている。このモデルで、アクチン繊維形成に伴いヌクレオチド結合ポケットが開く複雑なドメイン運動や、特異的なDループや末端のコンホメーション、また本来親水的な分子間相互作用が、素繊維方向には強く、しかし素繊維間では著しく弱いことが明らかになった。これらすべてが、アクチンの動的な機能に重要と思われる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度