Letter 細胞:1つの転移RNAに結合した2つの酵素は、連続反応のためにコンホメーションを変化させる 2010年9月30日 Nature 467, 7315 doi: 10.1038/nature09411 ほとんどの細菌とすべての古細菌では、グルタミルtRNA合成酵素(GluRS)がtRNAGluとtRNAGlnの両方にグルタミン酸を付加し、その後で、tRNA依存性アミド基転移酵素がGlu-tRNAGlnを選択的にGln-tRNAGlnに変換する。これら2つの酵素が基質となるtRNAをどのような仕組みで認識するのか、またGln-tRNAGln合成のためにどのように協調するのかは、まだ解明されていない。今回我々は、好熱性細菌Thermotoga maritima由来のtRNAGln、GluRS、ヘテロ三量体のアミド基転移酵素GatCABからなる「グルタミン・トランスアミドソーム」が形成されることを見いだし、その結晶構造を3.35 Åの分解能で決定した。GluRSのアンチコドン結合ボディはtRNAGlnとtRNAGluに共通する特徴を認識するが、GatCABのテールボディは、L字形のtRNAGlnの角の外側部分をtRNAGln特異的に認識する。GluRSは活性型で、触媒ボディはtRNAGlnのアミノ酸アクセプターアームに結合している。これに対してGatCABは不活性型で、その触媒ボディはGluRSの触媒ボディに接触しており、tRNAGlnのアクセプターステムの近く、すなわちGluRSによるGlu-tRNAGln形成の完了を待つのに適した位置にある。GluRSの触媒ボディとアンチコドン結合ボディの間、GatCABの触媒ボディとテールボディの間には可動性のある蝶番構造が見つかり、GluRSボディとGatCABが活性型と不活性型両方の構造をとれるのは、この蝶番構造によっていることがわかった。2つの酵素の触媒ボディはtRNAGlnのアクセプターアームに対して互いに競合する関係にあるため、同時に活性型構造をとることはできない。活性型のGluRS、不活性型のGatCABという現時点のグルタミル化状態から、不活性型のGluRS、活性型のGatCABという推定上のアミド化状態への移行には、立体構造上の理由から、どちらの酵素も不活性型の中間状態を経る必要がある。ここで提案したこの機構によって、トランスアミドソームが2段階の連続反応で効率よくGln-tRNAGlnを生成し、不安定なGlu-tRNAGln中間体を遊離させるリスクが非常に低い理由が説明できる。 Full Text PDF 目次へ戻る