Letter 地球:氷底クレバスへの氷底排水系の垂直拡大 2010年9月30日 Nature 467, 7315 doi: 10.1038/nature09398 水は、氷河や氷床の底面すべりに重大な影響を及ぼし、氷河運動を加速する重要な要素であることが多い。水の流入量履歴や基盤の特徴にもよるが、氷とその下にある基盤表面との境界にある空洞と水路の系を、氷底水が満たしていることが知られている。しかし、直接観測が難しいため、氷底水の規模や構造は十分に解明されていない。このため、氷の動態とその結果生じる海水準上昇への影響を忠実にシミュレートする能力が限定されている。本論文では、氷河下の水文系には大量の水があり、基盤からその上にある氷へ上向きに伸びる氷底クレバスを満たしていることを示す。レーダー画像や地震探査画像と、アラスカのBench氷河で収集されたin situのボアホール計測を組み合わせて、水で満たされた多数の氷底クレバスがあり、基盤へ水を伝えやすいことがわかった。いくつかのクレバスは、基盤の上方に数十メートル伸びており、合計すると基盤を少なくとも10センチメートル覆う層に相当する体積の水を保有している。我々の結果は、氷底水文系が上にある氷塊内を上方へ高く伸びることができ、氷底クレバスの貯水能力が増加し、氷底の水圧を調整できる可能性があることを示している。氷底クレバスは一般的に観測されている雪氷条件の下で形成されうるので、今回の発見は、氷底水文過程や関連する氷河や氷床のすべり加速の解釈とモデル化に影響を与える。 Full Text PDF 目次へ戻る