Letter 細胞:1個の積み荷追跡によって明らかになった、核膜孔複合体の選択機構 2010年9月30日 Nature 467, 7315 doi: 10.1038/nature09285 核膜孔複合体(nuclear pore complex;NPC)は、細胞質と核の間で起こる物質交換のすべてにかかわっている。小型の分子はNPCを通って受動拡散するが、大型の積み荷は移動に輸送受容体を必要とする。NPCが輸送受容体と積み荷の複合体の移動を促進する仕組みは、まだ明らかにされていない。この過程について調べるために、タンパク質と結合させた1個の量子ドット積み荷がヒトNPCを通過するのを追跡した。本論文では、核内への運び込みが、積み荷の捕捉、選別と移行、核内への放出という段階を連続的に経て行われることを明らかにする。非常に大型の積み荷はサイズによる選別障壁でくい止められるなど、ほとんどの量子ドットはこれらの段階のどこかで拒絶され、細胞質へと戻る。中央のチャネルにおける積み荷の移動は劣拡散的(subdiffusive)で、より多くの輸送受容体と結合できた積み荷ほど自由に拡散できる。輸送の方向性の重要な調節因子であるRan GTPアーゼがなくても、積み荷はNPC全体を通って行くが、核への出口を通過できる確率が著しく下がることから、NPCへ入る段階と出る段階は同義ではなく、核膜孔は核に取り込む積み荷に対して機能的に非対称であると考えられる。NPCの全体としての選択性は、複数の可逆的段階と最後の不可逆的な放出段階の累積的な働きによって生じるらしい。 Full Text PDF 目次へ戻る