Article 進化:ヒト熱帯熱マラリア原虫の起源はゴリラにある 2010年9月23日 Nature 467, 7314 doi: 10.1038/nature09442 熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は、ヒトに感染するマラリア原虫の中で罹患率および致死性が最も高いが、この重大な病原体の起源および進化史についてはいまだに議論が続いている。今回我々は、単一ゲノム増幅法を開発し、野生類人猿の糞便試料中に存在するPlasmodium属原虫のDNA塩基配列を同定し、その特性を解析した。アフリカ中部各地の生息場所から採集した約3,000点の試料のうち、チンパンジー(Pan troglodytes)およびニシゴリラ(Gorilla gorilla)にはPlasmodium属原虫感染が認められたが、ヒガシゴリラ(Gorilla beringei)およびボノボ(Pan paniscus)には認められなかった。類人猿のPlasmodium属原虫感染は極めて罹患率が高く、広く分布しており、ほぼ常に複数の原虫種が混在していた。チンパンジーおよびゴリラに由来する原虫のミトコンドリア、アピコプラスト、および核の遺伝子塩基配列を1,100個以上分析したところ、99%は、Laverania亜属内の別々のPlasmodium種に相当する宿主特異的な6系統のうちのどれか1つに分類された。そのうちニシゴリラに由来する1つは、熱帯熱マラリア原虫とほぼ同一の原虫群を構成していた。ミトコンドリアの完全長塩基配列を系統発生解析すると、ヒト熱帯熱マラリア原虫は、ゴリラの原虫の放散内部に単系統的な系譜を形成した。今回の知見は、熱帯熱マラリア原虫の起源が、チンパンジー、ボノボ、および古代人類ではなくゴリラにあることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る