Letter 構造生物学:CusA排出ポンプの結晶構造から示唆されるメチオニンを介する金属輸送 2010年9月23日 Nature 467, 7314 doi: 10.1038/nature09395 大腸菌(Escherichia coli)のようなグラム陰性菌は、細胞から多様な毒性物質を排出するのに、RND(resistance-nodulation-cell division)ファミリーの三成分排出複合体(tripartite efflux complex)を用いることが多い。CusCBA排出系は、殺菌性のCu(I)やAg(I)イオンの排出にかかわっている。これまで、RND排出ポンプの重金属排出(HME)サブファミリーの構造情報は得られていなかった。今回我々は、内膜輸送体CusAの、Cu(I)またはAg(I)が結合している場合、および結合していない場合の結晶構造について述べる。これらCusAの構造から、RND排出ポンプのHMEサブファミリーについての新たな構造情報が得られる。構造から、3つのメチオニンクラスターにより形成される金属結合部位は、ペリプラズムドメインのクレフト(裂け目)領域中に位置することが示唆される。このクレフトはアポ-CusA型では閉じているが、CusA-Cu(I)とCusA-Ag(I)構造では開いており、イオン排出経路と考えられるものが直接的に示唆される。Cu(I)やAg(I)の結合により、ペリプラズムドメインと膜貫通ドメインの両方に大きなコンホメーション変化が引き起こされる。この結晶構造から、3つのメチオニンからなる金属結合部位に加えて、4つのメチオニンペアが存在し、その3つは膜貫通領域に、1つがペリプラズムドメインにあることが示された。遺伝学的分析と輸送活性測定から、CusAはこれらのメチオニンペアあるいはクラスターを用いて金属イオンを結合・排出することで、細胞質から金属イオンを能動的に取り出していると考えられる。こうした構造は、これらの部位間での段階的なシャトル型機構による輸送を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る