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細胞:損傷が誘導するSld3のリン酸化が、後期複製開始点の発火の阻害に重要な役割を果たす

Nature 467, 7314 doi: 10.1038/nature09377

複製開始点は細胞周期のS期の間ずっと活性化されており、各染色体が適切な時期にすべて残らず複製されるように、一部は初期に、残りは後期に発火する。しかし、DNAの損傷や複製フォークの停止に応じて、真核細胞はまだ発火していない複製開始点の活性化を中止する。毛細血管拡張性運動失調症患者からとったヒト細胞では、ATM(ataxia telangiectasia mutated)キナーゼの機能が失われているために、この発火中止過程がうまく働かず、γ線照射後に放射性抵抗性DNA合成が起こってしまう。この現象は出芽酵母でも保存されており、類似のキナーゼMec1(ATMとRad3に類似[ヒトではATR])をもたない酵母細胞は、DNA損傷が起こってもDNA合成を止められない。このS期内チェックポイントは、後期複製開始点の発火阻害によってDNA合成を能動的に調節しており、この阻害にはMec1と下流のチェックポイントキナーゼRad53(ヒトではChk2)が必要である。しかし、Rad53の基質となってリン酸化され、それが発火阻害機能に必要となるタンパク質が何かは知られていなかった。今回我々は、複製開始タンパク質Sld3がRad53によりリン酸化されることを明らかにし、このリン酸化がCdc7キナーゼの調節サブユニットDbf4のリン酸化とともに起こると、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの後期複製開始点の発火が妨げられることを示す。DNA損傷試薬に曝露すると、SLD3DBF4のリン酸化不能な対立遺伝子(SLD3-m25dbf4-m25を発現する細胞は、後期複製開始点が不適切に発火するために、野生型細胞よりもS期の進行が早い。このSLD3-m25 dbf4-m25細胞は複製阻害剤であるヒドロキシ尿素が存在すると増殖が遅くなり、Rad52フォーカスを多数蓄積する。またSLD3-m25 dbf4-m25細胞は、一時的な複製中止からの回復が遅れ、その後にDNA損傷チェックポイントで停止してしまう。これらの結果は、S期内チェックポイントが不利な条件下での後期複製開始点の発火を阻害して、ゲノムの不安定性を防ぎ、細胞をできるだけ生存させる働きをしていることを示している。

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