Letter

地球:リソスフェア–アセノスフェア境界での水とその影響

Nature 467, 7314 doi: 10.1038/nature09369

地球には独特な対流挙動があり、それは玄武岩質の地殻とかんらん岩質の最上部マントルからなる海洋リソスフェアが、その下にある力学的に脆弱な上部マントル(アセノスフェア)と連動せずに水平運動しているプレートテクトニクスモデルによって記述される。リソスフェア–アセノスフェア境界での分化の原因は、地震学などの地球物理学的、また実験岩石学などの地球化学的関連観測を含めて、現在議論されている。水は、希薄固溶体によってかんらん石や輝石の結晶構造を弱めたり、部分溶融温度を低下させたりすることによって、マントルレオロジーに重大な影響を及ぼすと考えられている。本論文では、深さ190 kmに相当する6 GPaまでの圧力下にある上部マントル内の水の役割を明らかにする、新しい実験方法について報告する。水に富む気体が存在するレルゾライトでは、ケイ酸塩メルトが最初に現れる温度(蒸気飽和固相線)は1.5 GPaで最低の970 °Cだが、6 GPaでは1,350 °Cにまで上がることがわかった。2.5 GPaと4 GPaにおいて蒸気飽和固相線前後の温度で名目上の無水鉱物内に保持されているレルゾライトの含水量を測定すると、約180 ppmであった。含水鉱物のパーガス閃石が上部マントルにおける主要な貯水部位であり、約90 km以深に相当する3 GPaよりも高い圧力でのパーガス閃石の不安定性は、貯水能力と肥沃な上部マントルレルゾライトの固相線温度の双方を急激に低下させる。3 GPaよりも高い圧力で180 ppm以上の水を含む間隙メルトがマントルに存在すると、マントルのレオロジーが変化し、リソスフェア–アセノスフェア境界が定まる。中央海嶺玄武岩の供給源である現代のアセノスフェアマントルは、水を50〜200 ppm含んでいる。我々は、高圧の蒸気飽和固相線でのレルゾライトの初期溶融後に残存した名目上の無水鉱物の含水量とこの値が一致することを示す。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度