ずっと以前から、地震の不安定性は加速すべりの際の断層の弱化が原因とされており、この弱化を支配する機構を突き止めることは地震物理の主要な問題となっている。数多くの実験がなされたにもかかわらず、弱化の機構はまだ解明されていない。本論文では、地震すべり速度に近い速度で剪断されている実験的断層で動的弱化が起きている証拠を提示する。室内で乾燥させた固体の花崗岩の塊でできた実験的断層は、急速に摩滅して、断層粘土として知られる細かい岩石の粉を形成した。10〜60 mm s −1という中程度のすべり速度では、この新しく形成された断層粘土が自己組織化して薄い変形層となり、断層強度が1/2から1/3に減少した。すべりの後では、断層粘土は急速に「熟成」して断層強度は数時間から数日で回復した。したがって、新しく生成された断層粘土のみが実験的断層を弱化させる。動的な断層粘土の形成は、もろい地殻において地震不安定性を引き起こす、一般的で有効な機構と考えられる。それは、(1) 断層粘土は断層すべりで常に形成され、(2) 断層粘土は工業用粉末潤滑剤と同様に振る舞い、(3) 断層粘土の動的な形成によって地震の重要な種々の性質が説明され、(4) 断層の広範囲にわたる形状、組成、温度で断層粘土の潤滑剤が形成されうるからである。