Letter 気候:鮮新世初期における熱帯低気圧と永続的なエルニーニョ 2010年2月25日 Nature 463, 7284 doi: 10.1038/nature08831 熱帯低気圧(ハリケーンや台風ともよばれる)は現在、地球の気候システムの重要な構成要素であると考えられている。特に上層海洋の激しい混合を起こすことで、熱帯低気圧は、海洋による熱の取り込みや極への熱輸送、ひいては全球温度に影響を及ぼす。したがって、熱帯低気圧の分布と頻度の変化は、地球温暖化に対する気候応答の重要な要素となりうる。鮮新世初期(約500万〜300万年前)の気候は現在の温室状態と似ていた可能性があり、この応答に対する重要な手がかりが得られるだろう。本論文では、熱帯太平洋におけるハリケーンと上層海洋循環との間の正のフィードバックについて述べる。これは、鮮新世初期の暖かいエルニーニョ類似状態の維持に不可欠だった可能性がある。このフィードバックは、海洋の風成循環の一部として表層を赤道に向かって移動し東部赤道太平洋において再び水面に現れる水塊を、ハリケーンが温めることに基づいている。現在の気候では、この水塊の移動経路を横切るハリケーンの軌跡は極めてまれである。その結果、そのような深さの水と表面水との間での熱交換はほとんどない。中部太平洋でハリケーンの発生頻度がより高くより強力となっていることは、水塊がより強く加熱され、東部赤道太平洋の水温がより高く、熱帯がより暖かくなり、その結果、さらに多くのハリケーンが発生することを示している。このフィードバックの裏付けとなる、鮮新世初期における熱帯低気圧分布の顕著な変化を、ハリケーンのダウンスケーリングモデルを使って示す。結合気候モデルを使ってさらに計算した結果は、我々の結論を裏付けている。ここで提案したフィードバックは、過去の安定した気候と関連があると考えられ、おそらく現在の気候変化とも関連しているだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る