Letter 物理:普遍的フェルミ気体の熱力学的性質を探る 2010年2月25日 Nature 463, 7284 doi: 10.1038/nature08814 現代物理学における最大の難問の1つは、強く相互作用する一連の粒子の挙動の解明である。ある種の量子多体系(中性子星物質や低温フェルミ気体など)は、相互作用が量子力学で許される最大有効値、いわゆるユニタリー極限に達したとき、共通の普遍的熱力学特性をもつようになる。原理上、これによって原子物理学実験の高度に制御された環境の中で、一部の天体物理現象をシミュレートできる。二成分フェルミ気体の熱力学的性質に関する以前の研究では、熱力学量がトラップ全体で平均化されており、一様気体のために開発された多体理論との比較が困難であった。今回我々は、一様気体の状態方程式を得るとともに、既存の理論との詳細な比較も可能にする一般的実験方法を開発した。我々の状態方程式の精度は、ユニタリー気体の新しい物理的考察につながる。非偏極気体に関して、強く相互作用するノーマル相の低温熱力学的性質がフェルミ液体理論でうまく記述できることを示し、また超流動転移を局所化させた。スピン偏極系に関して、ゼロ温度における我々の状態方程式は2パーセントの正確度をもち、相図に関する研究を新しい領域の精度へと拡張した。特にノーマル相は、強い相互作用にもかかわらず、2つの理想気体、すなわち裸の多数原子からなるフェルミ気体と、ドレスト(衣をまとった)準粒子であるフェルミオンポーラロンからなる相互作用しない気体との混合物として振る舞うことを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る