折りたたまれないタンパク質の小胞体内蓄積の検出とそれに対する補償的応答は、異常タンパク質応答(unfolded protein response; UPR)とよばれ、正常な発生と病気の発症原因に重要な役割をもち、細胞の恒常性を保つ、保存された機構である。IRE1-XBP1/Hac1経路は、UPRの主要な経路であり、酵母からヒトまで保存されている。XBP1(X-box binding protein 1)は、哺乳類の適応免疫系の高い分泌能をもつ形質細胞の分化に必要とされるが、最近の研究では、免疫や炎症のその他の側面とUPRとの間の相互作用も示唆されている。我々は、線虫(Caenorhabditis elegans)の自然免疫の研究で、微生物病原体に対する抵抗性を媒介する保存されたPMK-1 p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の重要な役割を明らかにした。本論文では、線虫の発生の間に、自然免疫が活性化した際、XBP-1が宿主を防御するのに必須の役割を果たすことを示す。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染に対するPMK-1を介した応答の活性化は、XBP-1依存的なUPRを誘導する。xbp-1機能喪失型変異体が比較的病原性の低い細菌の存在下で正常に発生するのに対して、このxbp-1変異体への緑膿菌感染は、小胞体の形態崩壊をもたらし、幼生は死に至る。病原性緑膿菌に関する幼生の致死表現型は、予想外のことだが、PMK-1媒介性免疫の欠損によって抑制される。さらに、PMK-1の過剰活性化により、病原性細菌が存在しなくてもxbp-1変異体の幼生致死が引き起こされる。我々の結果は、線虫の発生の際には、自然免疫が小胞体ストレスの生理的誘導因子であることに確証を得ており、またXBP-1の保存されてきた役割が、微生物に対する自然免疫応答の誘導の有害な影響からの宿主生物の保護である可能性を示している。