Article 細胞:多能性に向かう再プログラム化にはAID依存的なDNA脱メチル化が必要である 2010年2月25日 Nature 463, 7284 doi: 10.1038/nature08752 体細胞の核を再プログラム化して誘導多能性幹(iPS)細胞を得ることにより、再生医療用の患者特異的幹細胞の作出が可能になる。しかし、iPS細胞の作出は、同調性がなく、時間がかかり(2〜3週間)、その頻度も低く(< 0.1%)、DNA脱メチル化がネックとなる。我々は、初期化に関与する調節機構を調べるために、同調的かつ高頻度に短時間で再プログラム化が誘導される異種ヘテロカリオン(マウス胚性幹(ES)細胞とヒト繊維芽細胞を融合したもの)を作出した。本論文では、単一のヘテロカリオンの多能性に向かう再プログラム化は、細胞分裂もDNA複製もなく開始され、迅速(1日)で効率的(70%)であることを示す。短鎖干渉RNA(siRNA)によるノックダウンで、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID、別名AICDA)がプロモーターの脱メチル化、OCT4(別名、POU5F1)およびNANOG遺伝子発現の誘導に必要であることが示された。AIDタンパク質は、繊維芽細胞のメチル化され発現が抑制されているOCT4およびNANOGプロモーターに結合するが、脱メチル化され活性化しているES細胞のOCT4およびNANOGプロモーターには結合しない。これらのデータは、ヒト体細胞において、哺乳類のAIDが、能動的DNA脱メチル化および多能性に向かう核初期化の開始に必要であることの最初の証拠となる。 Full Text PDF 目次へ戻る