Letter 物理:単一の回折像からの三次元構造の決定 2010年1月14日 Nature 463, 7278 doi: 10.1038/nature08705 物体の三次元構造を決定できる能力によって、自然の解明は大きく進展した。物体の三次元構造決定に最も広く使われる従来の方法では、結晶学やトモグラフィーの場合のようにさまざまな試料方位で複数回の測定を行うか、共焦点顕微鏡のように試料全体を一連の薄切片として走査することで構造を決定する。本論文では、アンキログラフィー(ankylography;「湾曲した」を意味するギリシャ語ankylosと「書くこと」を意味するgrapheinに由来する)と名付けた三次元画像化法を提示する。この方法によって、特定の状況下で、単色入射ビームを使った1回の露光から完全な三次元構造を決定することができる。有限な物体の回折像をエバルト球上において十分微細なスケールで抽出すると、原理的には、この物体の三次元構造が球面の二次元像から決定されることを示す。この理論解析は、二次元球面の回折像のみから、ケイ酸ナトリウムガラス構造体を2 Åの分解能で、単一ポリオウイルスを2〜3 nmの分解能で三次元的に数値再構成することで確かめられた。軟X線レーザーによる回折データを使って、 単一の二次元回折像から試験物体の三次元像を得ることで、アンキログラフィーが実験的に実現可能なことも予備的に実証した。さらに開発が進めば、単一の回折像から完全な三次元構造情報を得るこの方法は、物理科学や生命科学で幅広く応用される可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る