Letter 生理:ショウジョウバエの攻撃促進フェロモンとその受容体ニューロンの同定 2010年1月14日 Nature 463, 7278 doi: 10.1038/nature08678 多くの動物種では、フェロモンによって攻撃行動が制御されている。しかし、攻撃フェロモンとそれに関連する受容体および対応する感覚ニューロンが同定されている系は、これまでのところない。今回我々は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)で、雄特異的な揮発性フェロモン11-cVA(11-cis-vaccenyl acetate)が、雄間の攻撃行動をロバストに促進することを明らかにする。合成cVAの攻撃促進作用には、受容体Or67dだけでなく、この受容体を発現する嗅覚ニューロン(OSN)も必要である。Or67dを発現するOSNの興奮性を遺伝子操作したり、ほかの種類のOSNが存在しない状態で雄のフェロモンに曝露したりすることで、Or67d発現OSNを活性化すると、それだけで攻撃が促進される。雄バエの密度が高いと、揮発性cVAの放出によって攻撃が促進されることがある。そうすると、cVAに促進された攻撃行動によって雄バエが餌供給源から分散するが、この作用はOr67d発現OSNに依存する。これらのデータは、cVAが攻撃に対する作用を介して、雄の個体数密度に対する負のフィードバック制御を行っている可能性を示している。遺伝学で用いられる生物で、攻撃を制御するフェロモンとOSNがセットで同定されたことは、攻撃という進化上保存されている行動の神経生物学的な解明の道を開くだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る