Letter 生化学:DNA-PKcsの結晶構造から明らかになったHEATリピートからなる大きな開環型クレードル 2010年1月7日 Nature 463, 7277 doi: 10.1038/nature08648 DNA二本鎖の切断から生じる壊れた染色体は、細胞代謝過程での活性酸素種産生のような内因的な現象だけでなく、電離放射線のような外因的な原因によっても形成される。こうした染色体が修復されないままになったり、あるいは誤って修復されたりすると、がんや細胞死につながりかねないゲノム変化が引き起こされることがある。DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)は、DNA-PK触媒サブユニット(DNA-PKcs)とKu70/Ku80ヘテロ二量体からなるホロ酵素で、哺乳類で二本鎖切断の修復に用いられる主要な経路である非相同性末端結合に主要な役割を担っている。DNA-PKcsは、4,128個のアミノ酸からなる1本のポリペプチド鎖のセリン/トレオニンプロテインキナーゼで、PI(3)K(ホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ)関連タンパク質ファミリーに属する。DNA-PKcsは、DNA損傷シグナルの検知とp53のようなタンパク質への伝達に関与しており、細胞周期停止につながる事象を開始させる。DNA-PKcsはin vitroで、DNA上で転位するKu70/Ku80を含む広い範囲の基質をリン酸化する。今回我々は、ヒトDNA-PKcsの全体の折りたたみがはっきりみられる6.6 Å分解能での結晶構造を示す。これは我々が知るかぎりで初めての報告である。ポリペプチド鎖は、多数のαへリックスHEATリピート(へリックス・ターン・へリックスモチーフ)により曲がりやすくなり、中が空洞の円形構造を作るように折りたたまれている。カルボニル末端のキナーゼドメインは、この構造の上に位置しており、おそらくDNAと結合する小さなHEATリピートドメインがその内側にある。この構造は、DNA二本鎖切断の修復を促進する柔軟なゆりかご状のクレードル構造を提供している。 Full Text PDF 目次へ戻る