Letter 細胞:脱ユビキチン化酵素USP9XはMCL1を安定化して腫瘍細胞の生存を促進する 2010年1月7日 Nature 463, 7277 doi: 10.1038/nature08646 MCL1は、多数の細胞系統の幹細胞や前駆細胞の生存に不可欠であり、生存促進型BCL2ファミリーに属するが、ユビキチンリガーゼの作用を介して迅速に代謝回転するという独特の性質をもつ。しかし、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病や多発性骨髄腫では、MCL1の発現レベルが異常に高く、これが化学療法抵抗性や疾患再発の一因となっている。がんでのMCL1過剰発現の機構は十分に解明されていない。本論文では、脱ユビキチン化酵素USP9XがMCL1を安定化し、それによって細胞の生存を促進することを示す。USP9XはMCL1に結合し、本来ならば、MCL1のプロテアソームによる分解の印となるLys 48結合型ポリユビキチン鎖を除去する。USP9Xの発現増加は、ヒトの濾胞性リンパ腫やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫でのMCL1タンパク質の増加と相関している。また、USP9Xを過剰発現する多発性骨髄腫の患者の予後は不良である。USP9Xのノックダウンによって、MCL1のポリユビキチン化が増加し、それがMCL1の代謝回転とBH3模倣薬であるABT-737による細胞死を増強する。これらの結果は、USP9Xが予後および治療の標的となることを明らかにしており、また、脱ユビキチン化酵素がヒト悪性腫瘍で不安定ながんタンパク質を安定化する可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る