Letter 細胞:プライミングループと合成速度の差によるDNA複製の協調 2009年12月17日 Nature 462, 7275 doi: 10.1038/nature08611 ゲノムDNAは2個のDNAポリメラーゼ分子によって複製される。一方は、ヘリカーゼと強く結びついてリーディング鎖の鋳型を連続的にコピーし、もう一方は、既にほどけたラギング鎖の鋳型を、岡崎フラグメントを合成しながら不連続にコピーする。ラギング鎖のポリメラーゼは、岡崎フラグメントを完成するたびに、プライマー合成とポリメラーゼへの引き継ぎという比較的遅い段階を経て合成サイクルを繰り返さなければならない。これを考えると、どのようにして2本の鎖が最終的に同じ速度で合成されるのかは明らかでない。今回我々は、T7複製タンパク質を用いて、RNAプライマーはDNA合成進行に伴って「その場で」作られ、これまでの報告とは違って、リーディング鎖のT7レプリソームはプライマー合成中も停止しないことを明らかにする。リーディング鎖ポリメラーゼは停止はしないが、ヘリカーゼの速度によって制限を受け続けるため、ラギング鎖のポリメラーゼよりもゆっくりとDNAを合成する。また、プライマーゼ-ヘリカーゼT7 gp4が、DNA合成の進行中もプライマー部位の配列と結合を保っていることが明らかになった。そのため、新生ラギング鎖の鋳型はプライミングループを作り、これがプライマーと複製複合体とを物理的に近い位置に保つ。これらの知見から、相乗的に働く3つの協調機構が示唆される。第一は、プライマーがDNA合成と同時に作られることである。第二に、プライミングループが、プライマー使用とポリメラーゼへの引き継ぎの効率を高めている。第三にラギング鎖ポリメラーゼのほうがDNAを速くコピーするため、全体としてリーディング鎖のDNA合成に追いつくことができる。 Full Text PDF 目次へ戻る