Letter 植物:アブシジン酸シグナル伝達経路のin vitroでの再構築 2009年12月3日 Nature 462, 7273 doi: 10.1038/nature08599 植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)は、直物の多数の遺伝子の発現を調節しており、ストレス抵抗性、成長や発生に重要な機能を果たしている。ABA受容体として働く複数のタンパク質が報告されており、ほかにも多数がABAシグナル伝達にかかわることが知られている。しかし、ABA受容体の正体についてはいまだに異論があり、ABAの感知から下流の遺伝子の発現までのシグナル伝達の機序も明らかになっていない。今回我々は、最近同定されたABA受容体PYR1とタイプ2Cプロテインホスファターゼ(PP2C)であるABI1、セリン/トレオニンプロテインキナーゼのSnRK2.6/OST1、転写因子ABF2/AREB1を組み合わせることにより、ABAを引き金として転写因子をリン酸化する系をin vitroで再構築した。この4つの成分を植物プロトプラストに導入すると、ABAに応答した遺伝子発現が起こる。プロトプラストおよび試験管内での再構築解析によって、受容体、プロテインホスファターゼ、プロテインキナーゼファミリーに属する多様なタンパク質の機能を調べた。その結果、SnRK2キナーゼの初期状態は自己リン酸化された活性状態だが、PP2Cによる物理的結合と脱リン酸化によって不活性な状態に保たれていることがわかった。ABAが存在すると、PYR/PYL(pyrabactin resistance 1/PYR1-like)受容体タンパク質がSnRK2とPP2Cとの結合を破壊して、PP2CによるSnRK2の脱リン酸化が防がれ、SnRK2キナーゼが活性化されることがわかった。この結果から、ABAシグナル伝達機構についての手がかりが得られ、完全なABAシグナル伝達主要経路の核となる最小限の成分が明確になった。 Full Text PDF 目次へ戻る