Letter 海洋:南半球偏西風の極方向への移動によるアガラス・リーケージの増加 2009年11月26日 Nature 462, 7272 doi: 10.1038/nature08519 高温高塩なインド洋水塊を大西洋へ輸送する海流であるアガラス・リーケージは、全球の海洋循環、ひいては将来の気候の変化に非常に重要な役割をもつ。現在ではこの水塊は、大西洋南北方向鉛直循環(MOC)表層の分枝流への熱と塩分の主要な供給源となっている。有孔虫群集にみられる過去の氷期から間氷期への変動とモデル研究から、アガラス・リーケージの量とそれに対応するMOCへの影響は大きく変動してきており、それが南半球偏西風の緯度方向の移動と結びついている可能性を示す証拠が得られている。偏西風の極方向への漸進的な移動は過去20〜30年間にわたって観測されており、これは人為起源の強制と結びつけられているが、観測記録がまばらであるため、アガラス・リーケージの応答が同時に起こっていたかどうかを決定することはできなかった。本論文では、高分解能海洋大循環モデルの結果を提示し、アガラス・リーケージによるインド洋水塊の南大西洋への輸送が、風の強制の変動に応答して過去数十年間に増加していることを示す。アガラス・リーケージの増加は、南大西洋の水温躍層水塊で観測された塩分濃度の増加の一因となっている。モデルと南米沖合の歴史的に重要な測定値の両方が、インド洋水塊の北大西洋への侵入が増加し始めており、MOCの将来の変化に影響する可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る