Letter 脳:ガンマ振動の振動数は海馬内の情報の流れの経路を定める 2009年11月19日 Nature 462, 7271 doi: 10.1038/nature08573 ガンマ振動は、関連した情報を処理している分散した細胞集団を一時的に結合するものと考えられており、この機能はおそらく認知や注意対象の選択、記憶などの神経回路過程に重要である。この「結合」機構には、空間的に離れた細胞をミリ秒単位の正確さで同時に発火させることが必要だが、ガンマ振動自体が空間的にも時間的にも約25〜150 Hzの範囲でかなり変動するため、どのようにしてこうした同調が達成できるのかはわかっていない。今回、海馬CA1領域のガンマ振動が、速い振動数成分と遅い成分とに分けられ、動物の現在位置についての情報を提供する内側嗅内皮質からの入力と、その情報の保存に不可欠な海馬内領域であるCA3からの入力が、それぞれ別個にCA1と結合していることがわかった。CA1の速いガンマ振動は、内側嗅内皮質の速いガンマ振動と同期しており、CA1の遅いガンマ振動はCA3の遅いガンマ振動とコヒーレントであった。内側嗅内皮質とCA3の細胞のかなりの部分は、それぞれCA1の速いガンマ振動と遅い振動とに位相ロックされており、この2つのガンマ振動はCA1のシータリズムの異なる相で発生し、ほとんど異なるシータサイクルに乗っていた。こうした結果は、脳内のガンマ振動にはさまざまな振動数があり、おそらくそれによって情報の経路が決定されていることを示しており、異なる入力源から来て互いに干渉する可能性のある情報を時間的に区別する機構を提示している。 Full Text PDF 目次へ戻る