Letter 生化学:アロステリック制御タンパク質の動的活性化 2009年11月19日 Nature 462, 7271 doi: 10.1038/nature08560 シグナル伝達、代謝、触媒作用、遺伝子調節などの生物過程のほとんどで、タンパク質の活性を制御する非常に効果的な機序として、アロステリック制御が用いられている。アロステリックタンパク質は、結合特性や酵素活性の異なるいくつかの立体構造をとることができる。エフェクターは、特定の立体構造の選択的安定化によってタンパク質の活性を調節することで、純粋に構造的にだけ作用すると考えられている。今回我々は、アロステリックタンパク質がそれ自体の構造の動的変化によって主に調節される場合があることを明らかにする。カタボライト活性化タンパク質(CAP)は、タンパク質活性のエフェクターを介したアロステリック制御を理解するための見本とされる転写活性化因子だが、このCAPへのサイクリックAMP(cAMP)の結合の特性を、NMRスペクトルと等温滴定型熱量測定法により調べた。cAMPは、CAPを不活性で、DNAと弱く非特異的に結合する「オフ」状態から、活性でDNAと強く特異的に結合する「オン」状態へと切り替える。これに対して、単一のアミノ酸が変異したCAP変異体CAP-S62FではcAMPが結合しても、活性な立体構造をとることができない。しかし、cAMPの結合により、CAP-S62FはDNAとの結合に関しては強く活性化される。NMRと熱力学解析から、CAP-S62F-cAMP2が不活性なコンホメーションをとっているにもかかわらずDNAに強く結合するのは、DNAとの結合によってタンパク質の動きが促進されることに起因する大きな配座エントロピーによることが明らかになった。この結果は、タンパク質の動きの変化が、構造的には不活性なアロステリックタンパク質を活性化することを示す強力な証拠である。 Full Text PDF 目次へ戻る