Letter 進化:突然変異荷重と急激な適応が自殖よりも他殖を有利にする 2009年11月19日 Nature 462, 7271 doi: 10.1038/nature08496 自殖に比べると不利な点が数多くあるにもかかわらず、生物は他殖によって繁殖する傾向が高いが、これは進化生物学の最も古くからある謎の1つである。多くの種にとって他殖の進化を妨げる第一の障害は、雄の生産コストである。雄は子孫に直接寄与しない個体であり、系統の長期的な生殖生産量を減少させる。自家受精(自殖)する生物には雄の生産コストはかからないので、他殖する生物の大半に対して、数のうえでは少なくとも2倍有利なはずである。本質的に不利な点があるにもかかわらず自然界で他殖が広く普及しているのには、2つの競合する説明が考えられる。自殖による近交弱勢を避けるためと、他殖集団のほうが環境変化にすばやく適応できるためである。今回我々は、線虫(Caenorhabditis elegans)の集団に、変異率の上昇という条件を与えた場合と、新しい環境への適応中という場合の2つの状況下で実験的進化をさせ、どちらの場合も他殖が有利になることを明らかにする。全般的に適応度は、他殖率の上昇に伴って上昇した。したがって、前述した他殖の維持に対する標準的な説明はどちらも正しい。ほとんどの生物種で他殖が主要な生殖様式となっているのは、自然環境に広くみられる生態学的条件のもとでは他殖のほうが有利だからである可能性が高い。 Full Text PDF 目次へ戻る