ゲノムは高度な三次元構造をとるため、長いゲノム距離を隔てるDNAエレメント間で、原則的には機能的相互作用が起こりうる。転写因子の多くは、遺伝子プロモーターから離れた調節DNAエレメントと結合している。遠位の結合部位が、長距離のクロマチン相互作用により転写を調節することが少数の遺伝子座で示されているが、クロマチン相互作用およびその転写調節への影響について、全ゲノム規模の研究は行われていない。本論文では、新しい戦略であるChIA-PET(chromatin interaction analysis by paired-end tag sequencing)を包括的クロマチン相互作用のde novo検出のために開発し、これを用いて、ヒトゲノムにおけるエストロゲン受容体α(ER-α)によって結びつけられたクロマチン相互作用ネットワークの包括的なマッピングを行った。信頼度が高く、遠く離れたER-α結合部位の大多数が、長距離のクロマチン相互作用を介して遺伝子プロモーターにつながれていることから、ER-αは大きなクロマチンループを形成することにより、複数の遺伝子を近づけて、協調的な転写調節を行っていることが示唆される。哺乳類ゲノムにおいて、クロマチン相互作用は主要な転写調節機構の1つであると考えられる。