Letter 医学:肺腺がんマウスモデルにはNF-κBシグナル伝達経路が必要である 2009年11月5日 Nature 462, 7269 doi: 10.1038/nature08462 NF-κB転写因子は、細胞の生存だけでなく、炎症および免疫反応で極めて重要な調節因子として機能する。また、細胞の形質転換および腫瘍形成とも関係付けられている。しかし、NF-κBのシグナル伝達経路については、その生化学的特性の解明が過去20年間にわたって広く行われてきたにもかかわらず、in vivoでの腫瘍、特に固形腫瘍の形成にNF-κBが必要であることについては解明が進んでいない。今回我々は、肺腺がんマウスモデルでは、NF-κB経路が腫瘍形成に必要であることを示す。p53(Trp53としても知られる)の欠損およびがん関連遺伝子Kras(G12D)の発現がともに喪失すると、マウス胚初代繊維芽細胞でNF-κBが活性化された。逆に、Kras(G12D)を発現し、p53を欠損する肺がん細胞株では、p53が復帰するとNF-κBは阻害された。さらに、NF-κBシグナル伝達経路の阻害により、p53-ヌル肺がん細胞株でアポトーシスが誘導された。in vivoでこの経路を阻害すると、発がん当初から、あるいはがんの進行後に、腫瘍の増殖が大幅に抑制された。まとめると今回の結果は、NF-κBシグナル伝達経路が肺がん発生に極めて重要な機能を果たし、さらにこの経路の必要性はp53の状態に依存していることを示している。これらの知見は、Krasおよびp53に特定の変異をもつ患者のための標的治療に使うNF-κB阻害薬の開発を支持している。 Full Text PDF 目次へ戻る