Letter 細胞:系統的RNA干渉により明らかになったがん遺伝子KRASが誘導するがんへのTBK1の必要性 2009年11月5日 Nature 462, 7269 doi: 10.1038/nature08460 がん原遺伝子KRASはヒトのさまざまながんで変異しており、これらのがんの大半は悪性度が高く、通常の治療にはほとんど反応しない。特異的ながん遺伝子の同定が臨床効果の高い分子標的治療の開発に結びついた例もあるが、KRASではこのような方法がこれまでうまくいっていない。KRASを標的とするのと相補的に働く戦略は、それを阻害するとKRASの発がん性対立遺伝子が存在する場合にだけ細胞死をもたらすような遺伝子産物の同定である。今回我々は、系統的RNA干渉を行って、発がん性KRASと合成致死性を示す相手を探し、非標準的IκBキナーゼTBK1が、変異KRASをもつ細胞に選択的に必要であることを見いだした。TBK1を抑制すると、発がん性KRASの発現に依存しているヒトがん細胞系列だけに、特異的にアポトーシスが誘導された。これらの細胞ではTBK1が、c-RelやBCL-XL(BCL2L1ともよばれる)などがかかわる、生存に不可欠なNF-κB抗アポトーシスシグナルを活性化しており、合成致死性をもたらす相互作用の仕組みを考える手がかりとなる。これらの知見は、KRAS変異をもつがんにTBK1とNF-κBシグナル伝達が不可欠なことを示しており、また、がんで共依存的に働く経路を合理的に同定する一般的な方法を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る