Letter 医学:腸管微生物叢と化学誘引物質受容体GPR43による炎症応答の調節 2009年10月29日 Nature 461, 7268 doi: 10.1038/nature08530 免疫系では、危険な外来病原体の識別を行うToll様受容体(TLR)をはじめとするさまざまなパターン認識分子の働きによって、病原体に対する応答が起こる。しかし、最近得られた証拠により、正常な腸管微生物叢が免疫応答に有益な影響を与え、炎症性疾患の発症を防いでいる可能性が示唆されている。これにかかわる要因の1つと考えられているのが短鎖脂肪酸(SCFA)で、これは腸管微生物叢による食物繊維の発酵によって生じる。ヒトの潰瘍性大腸炎などの大腸炎の特徴の1つは、ビフィズス菌(Bifidobacterium)やバクテロイデス類(Bacteroides)のような「有益な」微生物叢の変化と、それに伴うSCFAの減少である。また、発酵性の食物繊維やSCFAの摂取量を増やすと、大腸炎の治療に臨床効果があるらしい。SCFAはGタンパク質共役型受容体43(GPR43、FFAR2ともよばれる)に結合する。今回我々は、SCFAとGPR43の相互作用が炎症応答に大きく影響することを明らかにする。GPR43欠失(GPR43−/−)マウスでは、大腸炎、関節炎、喘息モデルの炎症応答が消失しなかったり、炎症の悪化がみられたりするので、ある種の炎症応答が正常に消失するためにはSCFAによるGPR43の刺激が必要であるとわかった。これには、GPR43−/−免疫細胞による炎症性メディエーター生産の増加や、免疫細胞の動員の亢進が関係しているらしい。細菌が存在せず、SCFAがほとんど、あるいは全く発生しない無菌マウスでは、炎症応答の同様の調節異常がみられた。このように、SCFAとGPR43の結合が、食物、消化管内の細菌による代謝、免疫応答、炎症応答を分子レベルで結びつけている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る