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感覚:渡り鳥の一種では磁気コンパス情報が視神経を介するが三叉神経を介さない

Nature 461, 7268 doi: 10.1038/nature08528

鳥の定位には磁気コンパス情報が重要な役割を果たすが、鳥が地球の磁場を感知する生理的機構は、生物学でいまだに解決されていない謎の1つである。磁気感知機構の最も有望な候補として、2つの生物物理学的機構が広く認められている。鉄–鉱物仮説では、磁気情報は上くちばしにある磁気受容器によって感知され、三叉神経眼枝を介して脳に送られるとしている。光依存仮説では、磁場方向は眼にあるラジカル対を発生する感光色素によって感知され、この視覚シグナルが、夜間に活動して光情報を処理する特殊化した前脳領域であるクラスターNで処理されるとする。今回我々は、ヨーロッパコマドリで両側のクラスターNを破壊すると、磁気コンパス誘導型の定位行動をとれなくなるが、太陽コンパスや星コンパスによる定位行動はとれることを報告する。対照的に、コマドリの両側の三叉神経眼枝を切断した場合には、磁気コンパスを用いた定位能力に影響はみられなかった。このデータは、コマドリでは磁気コンパスによる定位にクラスターNが必要で、この部位が磁気コンパス情報の処理に特異的にかかわっていることを示している。このデータからはさらに、渡りをするこの鳴禽では視覚を介した機構が磁気コンパスの基盤になっていることや、上くちばしにあって三叉神経を介して脳に連絡すると考えられている鉄–鉱物を含む受容器はヨーロッパコマドリの磁気コンパス依存定位において必要でも十分でもないことが、強く示唆される。

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