Letter 神経:一元的なGABAを介する拡散性伝達(volume transmission)による皮質微小回路の調節 2009年10月29日 Nature 461, 7268 doi: 10.1038/nature08503 GABA(γ-アミノ酪酸)は、主として大脳皮質の局所的介在ニューロンから標的細胞の特定の細胞部位に向けて放出される。このことは、皮質ネットワークでの一過的抑制には、GABAの限局的でシナプス特異的な作用が必要であることを示唆している。しかし、シナプス間隙に放出されたGABAは、シナプス後肥厚部外にある受容体にまで拡散し、シナプス外のGABAAおよびGABAB受容体には、両受容体ファミリーの低濃度GABAに対して特に受性の高いサブタイプも含まれているため、これらを持続的に活性化できる。GABAにシナプス内とシナプス外の作用のあることにより、脳のニューロンが情報伝達にシナプス性の(つまり結合特異的な)伝達と、非シナプス性の(つまり拡散性の)伝達の両方を用いているという考え方が裏付けられる。しかし、再取り込み機構の存在が、シナプス外のGABA効果の空間的広がりを制限しており、複数のシナプス前介在ニューロンの協奏的活動、個々の細胞の持続的発火、あるいは放出部位密度の増加がなければ、周囲のGABAの濃度がシナプス外受容体を活性化できるまでにはならない。本論文では、ニューログリアフォーム細胞が軸索網の中に拡散性伝達を起こすのに十分な量のGABAを放出すること、したがって、ニューログリアフォーム細胞がその周囲の圧倒的多数のニューロンに抑制反応を起こすのにシナプスはいらないことを示す。ニューログリアフォーム細胞は、大脳皮質で、ほかのシナプスは全く受けないシナプス前末端に作用してニューロン間伝達を抑制する。このGABAは、持続的な抑制を起こすことが知られている、シナプス外のδサブユニットを含むGABAA受容体(GABAAδ)にも届く。我々は、GABAAδ受容体は、皮質介在ニューロンの中では、ニューログリアフォーム細胞に局在していることを示す。GABAAδ受容体の調節物質である神経ステロイド類は、ニューログリアフォーム細胞どうしの一元的なGABA誘発反応を変化させる。ほかの介在ニューロンによって特定の部位に作られるシナプスとは異なり、神経ステロイド感受性のニューログリアフォーム細胞の出力は、GABA伝達系のうちで空間特異性を欠く極端な形式とみることができ、長時間にわたって回路の過分極をもたらし、局所回路内の伝達を広範囲に抑制するものといえる。 Full Text PDF 目次へ戻る