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免疫:SIVcpzに感染した野生のチンパンジーでは死亡率が高まり、エイズ様の免疫異常を来す

Nature 460, 7254 doi: 10.1038/nature08200

アフリカの霊長類は、40種を超えるサル免疫不全ウイルス(SIV)に自然感染している。そのうち2つが種の壁を越えて、ヒト免疫不全ウイルス1型と2型(HIV-1とHIV-2)を生じた。しかし、ヒトのウイルスとは異なり、SIVの場合は一般に、その自然宿主が後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症することはない。本論文では、HIV-1の直接的な前駆ウイルスであるSIVcpzが野生に生息するチンパンジーに病原性をもつことを示す。我々は、タンザニアのゴンベ国立公園に生息するチンパンジーの2つの群れに属する94匹を9年以上にわたって追跡調査し、感染していないチンパンジー(n = 77)と比較してSIVcpzに感染したチンパンジー(n = 17)のほうが、年齢補正後の死亡危険率が10倍から16倍高いことを見いだした。また、SIVcpzに感染した雌のチンパンジーは感染していない雌と比較して、出産する率が低く、出産した乳児の死亡率がより高いことも見いだした。3匹の感染チンパンジーと2匹の非感染チンパンジーから死亡後に取り出した脾臓およびリンパ節の試料を、免疫組織化学やin situハイブリダイゼーションで解析した結果、感染個体全例でCD4+ T細胞数が大幅に減少していることが明らかとなり、また、感染個体の1匹では、ウイルスの複製が著しく、濾胞樹状細胞がウイルスを顕著に捕捉しているのが実証された。SIVcpz陽性後3年以内に死亡した雌の1匹は、末期のエイズと一致した病理組織学的所見を示していた。これらの結果は、HIV-1と同様SIVcpzも、進行性のCD4+ T細胞数の減少や、リンパ組織の破壊、早期死亡と関連することを示している。これらの知見は、SIVの自然感染はいずれも病原性を示さないという一般的な見方に異議を唱えるものであり、SIVcpzが野生のチンパンジーの健康や生殖、寿命にかなりの悪影響を及ぼすことを示唆している。

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