Letter 環境:貧栄養湖沼生態系の光による制限 2009年7月23日 Nature 460, 7254 doi: 10.1038/nature08179 生産力とは、生態系のバイオマス生成速度のことであり、生態系の機能および管理を形作る基本的特性の1つである。栄養素の利用可能性による生産力制限は、湖沼生態系に関して確立された考え方である。今回我々は、世界各地の着色有機物濃度の異なる小規模な貧栄養湖沼の大部分に対して、この考え方が当てはまるかどうかを検討した。生産力の低い小規模な湖沼を水の色の勾配に基づいて比較することにより、陸地由来の着色有機物が光の減衰へ影響を及ぼすことで、新規のバイオマス生成(水底の一次生産)に重要な過程を制御していることが明らかになった。また、それにより、より高次の栄養段階(水底の無脊椎動物および魚類)の生産量およびバイオマスに影響が及ぶこともわかった。こうした結果は、主として栄養素供給量が湖沼の生産力を左右するという考え方と矛盾しており、したがって我々は、有機炭素および栄養素の流入量が自然変動の範囲内であれば、世界の生産力の低い湖沼の大部分は光による制限を受け、栄養素による制限は受けないと考える。今回の結果は、湖沼生態系の機能および環境変化への応答の理解に関連すると考えられる。集水域から湖沼への着色有機物の流出量は、短期的な自然変動や、気候およびさまざまな人間活動による影響で促進される長期的で大規模な変動に左右されやすい。したがって、陸上の炭素循環の変化は、湖沼の光環境および生産力に変化をもたらすことにより、多くの湖沼生態系に著明な影響を及ぼすと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る