Article 発生:ヒト精子に特有のクロマチンは胚発生に関連する遺伝子をパッケージングする 2009年7月23日 Nature 460, 7254 doi: 10.1038/nature08162 ヒトの成熟精子では、ヌクレオソームの大部分がプロタミンに置き換えられているため、胚発生に対する精子クロマチンのエピジェネティックな関与は極めて限定的だと考えられてきた。本研究で我々は、残存するヌクレオソームが、インプリンティング遺伝子クラスターやマイクロRNAクラスター、HOX遺伝子クラスター、自立型の発生関連転写因子およびシグナル伝達因子のプロモーターなど、発生に重要な遺伝子座にかなりの量局在していることを示す。特にヒストンの修飾は、特定の発生関連遺伝子座に局在する。ヒストンH3のジメチル化リシン4(H3K4me2)は特定の発生関連遺伝子プロモーターに局在するが、広範なトリメチル化リシン4(H3K4me3)領域は、少数の発生関連遺伝子プロモーターやHOXクラスター内の領域、特定の非コードRNAに局在している。またほとんどの場合、父性的に発現するインプリンティング遺伝子座などの発生遺伝子プロモーターに局在し、父性的に抑制される遺伝子座には局在していない。ヒストンH3のトリメチル化リシン27(H3K27me3)は、初期胚で抑制される発生関連遺伝子プロモーターに顕著に局在し、これらの領域には、胚性幹細胞で二価の(H3K4me3とH3K27me3が共局在する)プロモーターが多数含まれる。さらに、発生関連遺伝子プロモーターは、精子では一般にDNAメチル化をあまり受けていないが、分化の過程でメチル化されていく。以上のことから、精子におけるエピジェネティックなマーキングは広範囲に及んでおり、発生調節因子類と関連していることがわかった。 Full Text PDF 目次へ戻る