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遺伝:部分的浸透が細菌の発生の進化を促進する

Nature 460, 7254 doi: 10.1038/nature08150

発生は通常、同質遺伝子集団内のすべての個体で同じように起こるが、変異が個々の生物個体の運命に及ぼす影響には違いがあることが多い。この現象は部分的浸透(partial penetrance)とよばれ、さまざまな発生系で観察されている。しかし、基盤となる遺伝的ネットワークが、取りうる複数の運命をどのようにして指定するのか、またこれらの運命の相対頻度がどのように進化するのかは、まだ解明されていない。今回我々は、枯草菌(Bacillus subtilis)の芽胞形成変異体で働く確率論的な細胞運命決定過程を突き止め、この過程が複数の運命の浸透度の遺伝的制御を可能にする仕組みを明らかにする。細胞区画間シグナル伝達過程の変異は、野生型細胞にはみられない異なった複数の運命を生じる。その中には、1個の細胞中に1個ではなく、2個の生存可能な「双子」の芽胞が形成される珍しいものもある。染色体複製と中隔形成を遺伝的に修飾することにより、各変異体の運命の浸透度を体系的に調整することができる。さらに、シグナル伝達と複製の摂動は相乗的に働いて、双子芽胞形成の浸透度を顕著に上昇させる。これらの結果から、単一芽胞形成から双子芽胞形成への、双子芽胞形成の浸透度が中間的な状態を介した発生進化経路が考えられる。さらに、野生型のClostridium oceanicumの双子芽胞形成の微速顕微撮影により、枯草菌変異体の双子芽胞形成との高い類似性が明らかになった。これらの結果を総合すると、ノイズによって複数の異なった形態的形質が最初に低浸透度で発現可能となり、さらに遺伝的パラメーターが徐々に調整されることによってそれが安定化されて、発生の進化が促進されると考えられる。

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