Article 発生:テロメラーゼは標的遺伝子を含むクロマチンに会合してWntシグナル伝達を調節する 2009年7月2日 Nature 460, 7251 doi: 10.1038/nature08137 幹細胞は遺伝子経路によって一部制御されており、このような遺伝子経路はヒトの腫瘍形成過程で高頻度に調節異常がみられる。静止期の上皮幹細胞をin vivoで活性化するには、Wnt/β-カテニンシグナル伝達の刺激あるいはテロメラーゼの過剰発現のいずれか一方で十分であるが、テロメラーゼがこのような効果を発揮する機序は明らかでない。本論文では、テロメラーゼがβ-カテニン転写複合体の中でコファクターとして働くことによって、Wnt/β-カテニンシグナル伝達を直接的に調節していることを示す。テロメラーゼのタンパク質構成成分であるTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)は、BRG1(別名SMARCA4)というSWI/SNF関連クロマチンリモデリングタンパク質と会合し、培養細胞やin vivoでWnt依存性レポーターを活性化する。TERTはアフリカツメガエル胚の前後軸形成で必須の役割を担っており、これがWntシグナル伝達で欠如すると、Tert−/−マウスの脊椎でホメオティック変異を引き起こす。マウス消化管由来の内因性TERTタンパク質のクロマチン免疫沈降により、TERTは各種Wnt依存性遺伝子のプロモーターに物理的に結合することが示された。これらの結果より、テロメラーゼはWnt/β-カテニンシグナル伝達経路の転写調節因子という、予測されていなかった役割を担うことが明らかとなった。 Full Text PDF 目次へ戻る