Letter 医学:結核菌のアデニル酸シクラーゼによるマクロファージへのサイクリックAMP輸送 2009年7月2日 Nature 460, 7251 doi: 10.1038/nature08123 毎年890万件の新たな症例と170万人の死者を出す結核は、全世界で主要な死亡原因となっているが、まだ効果的に抑制されていない疾病である。病原体である結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は宿主マクロファージ内で増殖し、細胞内および局所組織の環境の両方を変化させ、そのために生じる乾酪性肉芽腫は完全な殺菌を行うことが難しい。さまざまな種のマイコバクテリア感染により、マクロファージ内でサイクリックAMPの爆発的急増が起こり、そのために細胞性シグナル伝達に影響が出るが、このcAMP急増の基盤となるメカニズムは明らかではない。今回我々は、結核菌に存在する17のアデニル酸シクラーゼ遺伝子のうち、少なくとも1つ(Rv0386)が毒性に必要であることを示す。さらに我々は、Rv0386アデニル酸シクラーゼが、細菌由来cAMPのマクロファージ細胞質への輸送を促進することを証明する。Rv0386およびそれが運ぶマクロファージ内のcAMPの減少により、プロテインキナーゼAとCREB(cAMP response-element-binding protein)経路を介するTNF-α産生低下、動物組織での免疫病変の軽減、および細菌の生存低下が起こる。細菌由来cAMPの宿主細胞への直接の送り込みによって、結核菌は細胞内および組織の環境の両方を変えて、自身の長期的な生存を促進できるようになるのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る