Letter 細胞:LIFシグナル伝達経路の並列回路が、マウスES細胞の多能性を維持している 2009年7月2日 Nature 460, 7251 doi: 10.1038/nature08113 サイトカインの1つである白血病抑制因子(LIF)は、マウスの胚性幹(ES)細胞に、多能性を維持させるためのシグナルを入力している。LIFシグナルの仲介には細胞内のJak-Stat3経路が不可欠であり、またこの経路さえあれば足りるが、これらのシグナルが、Oct3/4(Pou5f1ともよばれる)、Sox2、Nanogなどの転写因子からなる、多能性にかかわる中心的回路とどのように結びついているのかはまだわかっていない。今回我々は、3つの細胞内LIFシグナル伝達経路それぞれが、異なった転写因子を介してこの中心的回路とつながっていることを明らかにする。マウスES細胞では、Jak-Stat3経路によって主としてKlf4が活性化され、これが選択的にSox2を活性化する一方、Tbx3は選択的にホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ-Aktとマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ経路によって制御され、主にNanogを刺激する。LIFがない場合でも、Klf4あるいはTbx3を人為的に発現させるだけで、Oct3/4の発現は維持され、多能性が維持された。特に目立ったのは、Nanogを過剰に発現させると、Klf4とTbx3の発現が低下していてもマウスES細胞のLIF非依存的自己複製が維持されることである。このようにKlf4とTbx3は、LIFシグナルの中心的回路への伝達にはかかわっているが、その発現がなくてもES細胞が特定の局面で多能性を維持することからみて、多能性の維持には直接かかわっていないと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る