Letter 細胞:多能性因子Oct4はCtcfと相互作用し、X染色体の対合と計数の制御も行う 2009年7月2日 Nature 460, 7251 doi: 10.1038/nature08098 胚性幹細胞(ES細胞)の多能性は、複数の決まった転写因子によって制御されている。マウスのES細胞では分化の際に、エピジェネティックな初期化が大規模に起こる。その一例がX染色体の不活性化(XCI)で、雌の1本のX染色体が抑制されることによって、雌雄の遺伝子量が同等になる。体細胞のXCIは、相同なX染色体の対合と計数によって調節され、また将来活性化されるX染色体と不活性化されるX染色体がランダムに選ばれることによって調節されている。XCIと細胞の分化は密接に結びついていて、一方を阻害するともう一方にも異常が生じ、また体細胞を人工多能性幹細胞へと脱分化させると、それに伴ってX染色体の再活性化が起こる。最近得られた証拠から、Xist遺伝子の発現と多能性因子が協調していると示唆されているが、この2つがどのように結びついているのかはわかっていない。今回我々は、Oct4(Pou5F1ともよばれる)がXCIの階層の頂点に位置し、X染色体の対合と計数の誘導によってXCIを制御していることを明らかにする。Oct4は、X染色体不活性化中心の2つの調節性非コードRNA遺伝子TsixとXiteに直接結合し、XCIトランスファクターのCtcf、Yy1ともタンパク質間相互作用を介して複合体を形成する。雌細胞でOct4が欠乏すると、相同なX染色体の対合が阻害され、X染色体が2本とも不活性化される。したがって、X染色体の計数を制御する初めてのトランス因子が同定され、X染色体の初期化の際にOct4が担う新しい機能が明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る