Letter 細胞:ゼブラフィッシュでは過酸化水素の組織スケールでの勾配により創傷が迅速に検出される 2009年6月18日 Nature 459, 7249 doi: 10.1038/nature08119 障壁構造(例えば、組織を取り巻く上皮や細胞を取り巻く細胞膜)は、その内部の恒常性や病原体からの防御に必要である。創傷の検出と治癒は、通常は休止状態にある形態形成プログラムで、これが迅速に実行されると、バリアの完全性と組織の恒常性が回復する。動物では初期段階として、受傷後数分以内に数百マイクロメートル離れたところから創傷部位に白血球が動員される。この即時の組織応答を指示する空間的シグナルは知られていない。それらのシグナルはすばやく拡散し、多彩な生物活性をもつことから、過酸化水素(H2O2)などの活性酸素種が、創傷から白血球へシグナルを伝える候補物質として注目されている。本論文では、遺伝的にコードされるH2O2センサーを発現するゼブラフィッシュ幼生で、創傷応答の早期過程におけるH2O2の役割を調べる。この検出系によって、創縁でのH2O2濃度の持続的上昇が明らかになった。これは、受傷後約3分に始まり、約20分でピークに達し、濃度が低下していく勾配が尾びれ上皮内に約100〜200 µmにわたって広がった。我々は、薬理学的および遺伝学的阻害によって、この勾配がデュアルオキシダーゼ(Duox)によって作り出されること、また、これが白血球の創傷への迅速な動員に必要であることを示す。これは、我々の知るかぎりで最初の、組織スケールでのH2O2パターンの観察であり、また、H2O2は既知の殺菌の役割に加え、組織で白血球にシグナルを出す役割ももつことを示す最初の証拠である。 Full Text PDF 目次へ戻る