Letter 医学:T細胞白血病での中枢神経系浸潤に必須の調節因子であるCCR7シグナル伝達 2009年6月18日 Nature 459, 7249 doi: 10.1038/nature08020 T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、主に小児や青年が罹患する血液の悪性腫瘍である。T-ALL患者は診断時に白血球の増加と肝脾腫を示し、また中枢神経系(CNS)での再発のリスクが高い。そのためT-ALL患者は通常、強力な髄腔内化学療法に加えて全脳照射を受ける。明らかに生存率が高まることから、重篤な副作用があってもこの治療を行う価値があると考えられている。その合併症には、二次性腫瘍、神経認知障害、内分泌疾患、および発育障害が含まれる。CNSへの白血病細胞浸潤の機序については、その臨床的重要性にもかかわらず、ほとんど知られていない。今回我々は、T-ALLの動物モデルと遺伝子発現プロファイルを用い、ケモカイン受容体CCR7は、白血病T細胞がCNSを標的とするのに必要な必須の接着シグナルであることを示す。Ccr7遺伝子の発現は、T-ALL発がん遺伝子Notch1の活性によって制御され、またこの遺伝子はNotch1を活性化する変異をもつヒトの腫瘍に発現している。T-ALLの動物モデルでは、CCR7もしくはそのケモカインリガンドCCL19の遺伝子のサイレンシングにより、CNS浸潤が特異的に阻害される。さらに、ヒトT-ALL細胞によるマウスCNSターゲッティングは、それらのCCR7を発現する能力に依存する。この研究は、単一のケモカイン-受容体相互作用をCNS「侵入」シグナルとして同定し、将来的な薬理学的ターゲッティングの道を開くものである。T-ALLのCNSへの波及を標的とする阻害により、CNS標的化治療の強度を下げることが可能となり、したがって、それに伴う短期および長期的な合併症を低減できるかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る