Letter 化学:部位選択的C-H酸化によるオイデスマン型テルペンの全合成 2009年6月11日 Nature 459, 7248 doi: 10.1038/nature08043 メントールからコレステロール、タキソールに至るまで、これまでに55,000種以上が単離されているテルペンは、あらゆるところに存在する分子群であり、風味、芳香、ホルモン、薬はもとより、ゴムなどの商品までを、ずっと以前から人間に提供してきた。テルペンの骨格の複雑さは、見たところ限りなく多様であるが、テルペンの生合成は「2段階」プロセスという統一した様式で行われることが多い。第1段階(シクラーゼ段階)では、「プレニルカップリング」によって単純な直鎖状炭化水素リン酸エステル構成ブロックがとじ合わされ、続いて、酵素によって制御される分子環化と転位反応が起こる。第2段階(オキシダーゼ段階)では、アルケンと炭素-水素結合の酸化によって数々の構造多様性がもたらされる。有機化学では、テルペン合成のシクラーゼ段階、特にポリエン環化の領域に必要な論理の開発は大きく進歩したが、オキシダーゼ段階を化学的に模倣するとなると、まだ研究すべきことが数多く残されている。今回我々は、テルペン生合成の論理から着想を得て行われた、一連の単純な炭素環形成反応とその後の複数の部位選択的分子間・分子内C-H酸化による、わずかなステップでのオイデスマン型テルペンの5つの酸化物の高効率立体制御合成について示す。本研究は、「2段階」法を用いたほかの複雑なテルペンの実験室合成を考える知的枠組みを確立するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る