Letter 地球:力学変数と水の移動が島弧火山の形成と位置を決める 2009年6月4日 Nature 459, 7247 doi: 10.1038/nature08044 プレート収束縁で島弧マグマを作り出す過程は、ずっと以前から科学的調査が行われ、議論が続いてきた。沈み込むスラブを覆うマントルウェッジや、沈み込むスラブ自身から生じた流体やメルトが溶融過程に関与していることは広く認められるようになった。しかし、島弧マグマの形成におけるスラブ傾斜や収束速度のような力学的変数の役割については、まだはっきりしていない。火山弧直下の沈み込みスラブ上端の深さは通常110±20 km程度で、これまで島弧の間で変わらないと思われていた。最近の研究で、火山弧下のやや深発地震が起きる深さが、おそらくスラブとウェッジの界面を示しており、この値が約60〜173 kmの間で系統的に変化し、スラブ傾斜および収束速度と相関していることが明らかになった。水を多く含むマグマ(4〜6 wt% H2O以上)が、北日本の緩やかな傾斜のスラブやマリアナ諸島の急傾斜のスラブなど、全く異なる沈み込みパラメーターをもつ沈み込み帯で見つかっている。本論文では、プレート沈み込みに関する力学的パラメーターが、沈み込み帯でのマントル溶融の位置とどのように関係しているのかを説明する簡単なモデルを提案する。我々は、島弧火山の位置は条件の組み合わせによって決定されることを示す。ウェッジ内での溶融が起こっているのは、水蒸気で飽和したかんらん岩の融解曲線(固相線)よりも温度の高いウェッジ内領域と、ウェッジや沈み込むスラブの両方にある含水鉱物が分解される領域の重なった所である。メルト生成に対するこれら2つの制限を、スラブ傾斜や収束速度の力学的パラメーターと組み合わせると、ウェッジの熱構造に対して独立な制約条件が得られ、マントルウェッジ溶融の場所と島弧火山の位置が正確に予測される。 Full Text PDF 目次へ戻る