Letter 生化学:細胞溶解性αへリックス毒素のポア構造から明らかになったポア組み立て機構 2009年6月4日 Nature 459, 7247 doi: 10.1038/nature08026 ポア形成毒素(PFT)は、可溶型から膜内在型ポアへと変化する強力な毒性因子の一群である。PFTは、膜透過障壁の破壊あるいはポアを介した毒性成分の送達により、その毒性効果を発揮する。ジフテリアや炭疽毒素のような最も危険性の高い毒素の一部は、細菌性PFTに属する。真核生物のPFTの例としては、免疫系のタンパク質であるパーフォリンや膜侵襲複合体が挙げられる。PFTは、膜への組み込みがαへリックスとβシート要素のどちらによると考えられるかによって、α-PFTとβ-PFTの2種類に分けられる。高分解能での構造が知られている唯一の膜貫通PFTポアは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のα-ヘモリシンというβ-PFTである。細胞溶解素A(ClyA、あるいはHlyEとして知られる)はα-PFTの1つで、大腸菌(Escherichia coli)や腸炎菌(Salmonella enterica)の複数の株の溶血性表現型の原因となる、細胞溶解性αへリックス毒素である。ClyAは培養哺乳類細胞に対しても細胞傷害性を示し、マクロファージのアポトーシスを引き起こし、組織への浸透を促進する。電子顕微鏡を用いた再構築により、ClyAの可溶性単量体は膜貫通ポアを形成するのに、大きな構造変化を起こさなければならないことが明らかになった。今回我々は、ClyAにより形成された400 kDaの12量体の膜貫通ポアの分解能3.3 Åでの結晶構造を報告する。ポア内のClyA単量体の三次構造は、可溶性の単量体とは大幅に異なっており、この変化には全残基の半分以上が関与している。この変化により、単量体の複数部分の最大140 Åまでに達する大規模な再配置と、疎水性コアの再編成、およびβシートとαへリックスのループ部分の移動が生じる。相互に関連し広範囲にわたるコンホメーション変化は、膜への挿入とポア形成の逐次的機構を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る