Letter

量子情報科学:もつれた力学的振動子

Nature 459, 7247 doi: 10.1038/nature08006

量子力学の特徴に重ね合わせと量子もつれがある。大きく複雑な系では、これらの特徴から「シュレディンガーの猫」の思考実験(猫は放射性原子核ともつれ合った生きた状態と死んだ状態の重ね合わせとして存在する)で想定される状況が生じると考えられる。このような状況は自然界では観察されない。これは、単に我々が対象となる系を周りの環境から完全に分離できないためかもしれない。すなわち、技術的な限界が原因というわけである。別の可能性は、巨視的なもつれ状態の形成を阻む何かまだ発見されていない機構の存在である。このような限界は、その系の基本となる構成要素の数、あるいはもつれた自由度の種類に依存している可能性がある。後者の可能性の検証が光子、原子、および凝縮物質のデバイスで行われている。自然界のどこにもある系の1つで、量子もつれがこれまで実証されていないものが、異なる力学的振動子からできた系である。本論文では、異なる位置に保たれた2対の原子イオンの振動状態からできた、離れた力学的振動子の決定論的な量子もつれを実証する。また、原子イオンの内部状態と遠くにある力学的振動子との量子もつれも実証する。これらの結果は、古典世界に存在する自由度の量子もつれを示している。このような実験は、より大きいスケールの力学的振動子のもつれた状態の生成につながり、メソスコピック系の非局所性の検証が可能になるかもしれない。また、ここで開発した制御法は、トラップされた原子イオンによる量子情報処理をスケールアップする上で重要な要素になる。

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