Letter

気候:黄道傾斜角によって調整された鮮新世の西南極氷床の振動

Nature 458, 7236 doi: 10.1038/nature07867

海洋堆積物中に堆積した微化石の酸素同位体記録によって、地球の軌道変動が氷河期を支配するという仮説が立証されてから30年を経ているが、軌道サイクルに対する南極氷床の応答については根本的な問題が残っている。さらに、将来の地球温暖化という観点から、氷床がふるまう可能性のある範囲をよりよく絞り込むには、「現在よりも暖かかった」鮮新世初期(約500万〜300万年前)の海洋に存在した西南極氷床(WAIS)のふるまいを解明する必要がある。本論文では、ANDRILL掘削計画によってロス棚氷北西部の下から回収された、AND-1B堆積物コアの上部600 mから得られた海洋の氷期記録を示し、年代がはっきり決定されている約4万年サイクルの氷床量変動が、鮮新世では地軸の傾き(黄道傾斜)の変化の影響を受ける日射サイクルと関連していたことを実証する。我々のデータから、軌道変動に誘起されてWAISに変動が生じて周期的に崩壊し、その結果ロス湾では、地球の温度が今日より最大約3 °C高く、大気のCO2濃度が400 ppmvと高かったときに、座礁氷や棚氷、開水面に切り換わったことの直接証拠が得られる。この証拠は新しい氷床/氷棚モデルと整合する。このモデルでのシミュレーションによれば、黄道傾斜角によって律速され海洋で起こる融氷に応答して、WAISの減少に伴って海水準に換算して最大+7 m、東南極氷床から海水準に換算して最大+3 mだけ、南極の氷体積が変動する。珪藻質堆積物からは、間氷期には表層水の生産性が高く、夏の海氷は最小で、気温は氷点を上回ったことが示され、CO2濃度が高い状況では表面融解の影響が加わることが示唆される。

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