Letter 化学:有機-無機ハイブリッド・ロタキサンおよび分子シャトル 2009年3月19日 Nature 458, 7236 doi: 10.1038/nature07847 炭素は4価であり、炭素どうしで、またほかの元素と共有結合を形成できるため、複雑な構造、機能、ダイナミクスを示す大きな有機分子の構築が可能である。一方、無機元素は多様な電子配置や結合パターンを示すため、さまざまな電子特性、磁気特性、触媒特性などの有用な特性を、分子レベルの構造体に付与できる。有機化学的特徴と無機化学的特徴の両方を併せもつハイブリッド有機-無機材料、特に金属-有機骨格、高密度拡張有機-無機骨格、配位高分子などは、いくつか開発されてきた。ロタキサンやカテナンなどの連結したサブユニットをもつ分子への金属イオンの取り込みも行われており、また、多くの無機クラスターがポリマー鎖を取り囲む構造体も報告されている。今回我々は、無機構造ユニットと有機構造ユニットが分子レベルで機械的につながった、一連のそれぞれ異なるロタキサン分子の合成について報告する。ダンベル型有機分子中の構造ユニット(ジアルキルアンモニウム基)が、本質的には無機物といえる「リング」を「軸」の周りに集合させるテンプレートとなり、さまざまな数のリングと軸からなるロタキサンを形成する。得られたロタキサンの1つは、「分子シャトル」としてふるまう。すなわち、軸上の2つの結合サイトの間で、一部の合成分子機械系に特徴的な大振幅運動でリングが動く。無機リングの電子的特性、磁気的特性、および常磁性は、量子コンピューターのキュービットとするのに適当と考えられるが、これらの特性はロタキサンの構造によって分子の有機部分に影響を及ぼしたり、またおそらく有機部分から影響を受けたりすることができるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る