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化学:キラル分子の振動光学活性のフェムト秒評価

Nature 458, 7236 doi: 10.1038/nature07846

光学活性が生じるのは、キラル分子が左円偏光と右円偏光に対して異なる相互作用をするからである。光学活性は、このように分子構造に本質的に関連しているため、円偏光二色性(CD)分光法によるその測定は、長い間、凝縮相の化学系や生物系に関する構造学的情報を得るための慣例的方法となってきた。最近開発された時間分解CD分光法は、原理的には、生体分子機能に関連する構造変化をマッピングできるため、基本的な生物学的過程の機構に関した知見が得られる。しかし、CDはよく知られているように弱い効果(吸収の104分の1から106分の1)であるため、時間分解CD測定実験は難しい。実際、これまでこの問題のために、時間分解振動CD実験はできなかった。今回我々は、ヘテロダインスペクトル干渉法を使って、赤外光学活性自由誘導減衰場の位相と振幅を合わせて検出すると(パルスNMR実験と同じように)、フェムト秒時間分解能での振動CD分光が実現可能であることを示す。フェムト秒レーザーパルスで、溶解したキラル・リモネン分子の振動CDと旋光分散スペクトルを同時に測定することによって、アキラル分子による大きなバックグラウンド中でも、微弱なシグナルが検出可能となる。これまでのところ、平衡状態の分子のみを対象にしてきたが、タンパク質折りたたみ時や不斉化学反応中に起こる構造変化などの超高速構造変化の観測に、この方法を拡張することは容易であろう。つまり、この方法により、キラルという観点から基本分子過程の「分子運動の映像」の撮影が可能になると考えられる。

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